ストーンペーパー

従来の紙と同様に使用可能でありながら、従来の紙ではできなかったことが実現できる。

ストーンペーパーとは

ストーンペーパーは、原料に木材チップやケナフなどを一切使用せず、石から抽出した無機鉱物粉末から作られたストーン紙です。
だから、ストーンペーパーの製造時には貴重な森林を伐採する必要はなく、さらに、水を使用しない水なしLED-UV印刷で製造するため、排水がまったく出ず「水質汚染」につながらないのも特長です。
まさに、この「ストーンペーパー」は地球環境保護のために生まれた紙なのです。

従来の紙(パルプ)が水を吸収し膨張するのに対して石は水分を吸収しないため、破れにくく強度や形状の変化がほとんどありません。ストーンペーパーは、従来の”紙”と同様に使用することができると同時に、従来の“紙”ではできなかった事にもご利用いただけます

ストーンペーパーの特徴

環境への負担

一般的なバージンパルプ紙1tをストーンペーパー1tに代替すると… 製造段階で天然資源保護に貢献でき、処分時も含めたLCA比較※1でみると、資源保護やCO2削減に貢献しています。

※1:Life Cycle Assessmentoの略称。ライフサイクルアセスメント製品の一生における環境負担を評価する手法で製造、輸送、販売、使用、廃棄、再利用まで全ての段階での環境負担を総合して評価します。

木を伐採しません

従来のパルプを使った製紙に比べ、ストーンペーパーは製造時に水で洗浄するプロセスが一切なく、強い酸やアルカリ、漂白剤も必要としません。また、製造時の廃水排出の問題もなく、河川や海を汚染することもないため、地球の水資源保護のためにも役だっています。

CO2排出量削減

ストーンペーパーは一般ゴミとして処理され、焼却炉で焼却できます。製品には多量の石に粉と樹脂が含まれており、この樹脂部分だけが燃焼します。樹脂が燃焼すると、石は粉末となり、樹脂と空気の接触を確実にして完全燃焼を促進します。 よって有毒なガスを発生することもなく、二酸化炭素の排出量も最小で地球の温暖化を抑制します。

最適な紙種の選び方

ストーンペーパーと代表的な合成紙の比較

対環境比較

ストーンペーパーも合成紙も、森林資源保全を目的に開発され、原料に木材パルプを使用していない点では同様ですが合成紙はポリプロピレンを主原料としている石油製品であるのに対し、ストーンペーパーはその名の通り、「石」(地球上に無尽蔵に存在する石灰石)を主原料とし、少量のポリ樹脂とでできています。対環境性では一歩リードしていると言えるでしょう。

コストメリット比較

価格面でも同じ厚さのストーンペーパーと合成紙を比べるとストーンペーパー菊版300μ、200μ、100μのストーンペーパーはいずれも合成紙の包み単価に対しても約40%と2倍以上の価格差があります。
※ただし合成紙に比べ、ストーンペーパーはコシがなく、柔らかいので使用目的にもよりますが、一概に同じ厚さでの比較はできません。
一般的に合成紙はUV印刷が必須なのに対し、ストーンペーパーは、通常のオフセット印刷が可能です。ここでもコストメリットがあります。

特徴比較

前述の通り、合成紙に比べ柔らかいのでトムソン加工の際にトムソン刃の通りが悪くなるようなこともなく、後加工が容易です。 逆にコシがないため、パッケージなどの用途には合成紙に一歩譲ります。 さらに印刷用紙として両者の大きな差は、合成紙には光沢がありますがストーンペーパーはマット調で、独特の風合いと共に高級感があります。強いてストーンペーパーに光沢を求めるならPP加工に頼らざるを得ません。 どちらも耐水性に優れ、パルプ紙のように水分による強度の低下や素材自体の変形や変質もありません。引張弾性も同様に優れ、水周りでの使用用途で代替を目指しています。

印刷用紙の比較

※横スクロールでご確認いただけます。

ストーンペーパー 代表的な合成紙 一般(コート・上質紙)
価格
合成紙と一般紙の間

比較的高価

成熟した市場環境
耐環境性
石から生まれた環境適合紙

木材パルプ不要(石油由来)

紙1tにつき20本の樹木
耐水性
水に濡れても変質しない

100%の撥水性

湿気だけでも変質する
印刷特性
マット調

鮮やかな発色

数多くの品種から選べる
加工特性 〇✖
柔らかい・重い
〇✖
固い・コシがある

蓄積された実績とノウハウ

よくある質問

「ストーンペーパー」って、ほんとに石からできてるの?

地球上に無尽蔵に存在する石灰石。正確には炭酸カルシウム (CaCO3) を主原料としています。それに高密度ポリエチレン(HDPE)を加え、撹拌、圧延してできています。

「ストーンペーパー」には、どんな種類があるの?

(1) RPD(100μ~200μ)
ポスターやパンフレットなど一般的な印刷物に使われるもので、コシが柔らかくマット調で「洋紙」のイメージ。
RPDのPは「paper」のP。
(2) MRD(300μ~400μ)
RPDを貼り合せたもので、冊子の表紙などに用います。特長的にはRPDと変わりありません。
(3) RBD(200μ~400μ)
コシはやや強くややグロス調で「板紙」のイメージでカードや小型のパッケージなどに使えます。
RBDのBは「board」のB。

■参考表

その他にも用途を限定する場合
(4) STシリーズ(400μ~700μ) 比重1.6、割合6:4、コシが最も強い
(5) SPシリーズ(80μ~100μ) 比重1.0、割合7:3、薄くて丈夫で軽い(巻取のみ)
(6) SPシリーズ(50μ) 比重0.9、割合6:4、さらに薄くて丈夫で軽い(巻取のみ)
ストーンペーパーのサンプルをご用意しております。

「ストーンペーパー」の環境優位性は?

通常のパルプ紙と比べて、
(1) 原料として木材パルプを全く使わない。よって森林伐採がありません。
(2) 製造工程で水を全く使わない。素材の白度が高いので漂白の必要もなく、排水もないので、水質汚染の心配もありません。
(3) 燃焼時の発生CO2が約半分。温室効果のガス削減または抑制に貢献できます。
の3点が、主たる環境優位性として挙げられます。
それ以外の長所として
(1) 水に強い。100%の撥水性があり、長時間水中にあっても劣化・変質しません。
(2) 破れにくい。例えば、地図のように折り曲げを繰り返しても不用意に破れることはありません。
(3) 書きやすい。あらゆる筆記用具が使えます。鉛筆であれば消しゴムも使えます。
以上の3点が、主たる機能優位性として挙げられます。
また、一般インキでオフセット印刷ができ、断裁も通常のパルプ紙同様でとくに問題はありません。
食品・飲料向け用途にも使用可能です。但し、食品と直接触れるような用途の場合、より安全を確保するために食品コート(ハービル)の採用をお薦めします。さらに強酸性(PH5以下)の食品・飲料に関わる用途には、慎重な判断が必要です。(必須項目ではありませんが、食品衛生法の酸に対する項目が「不適」と判定されており、事実上お勧めできません。)

「ストーンペーパー」の短所は?

これもパルプ紙との比較が中心となりますが、
(1) 原料にHDPEを使っていることと関係があり、高温に弱く(上限110℃)、従って、レーザー方式およびトナー方式のコピー機は通せません。
(2) インクジェットは、インクジェット用加工を施したタイプ(=「ストーンペーパーIJ」:RPD、MRD、RBDをベースとした後加工品)を選ぶ必要があります。